男キリ

厳しい介護業界
企業努力にも限界があるから,抜本的な改革が必要だね

信用調査会社の東京商工リサーチの調べによると、2017年における全国の老人福祉・介護事業者の倒産件数は111件と過去最多を更新した。日本は4人に1人以上が65歳以上という超高齢化社会。介護ニーズは激増しているのに、なぜ事業者の倒産が止まらないのか。

商売の世界では売上を伸ばそうと思えば,より多くの人に,より多くの商品を利用してもらうことになりますよね。

しかし,介護の世界ではそうはいかないのです。

なぜなら,日本の介護は,「介護保険」という国が作ったシステムの中で運営されているからです。

「介護保険」の中では,介護サービス利用料など細かく設定されており,介護事業者も利用者もこの制度内で介護サービスを提供,利用することになります。


介護事業所が売り上げを伸ばすためにはどうしたらいいでしょうか。

より多くの介護サービスを利用してもらうことは困難

ほとんどの利用者が自己負担限度額いっぱい介護サービスを利用しており,一人の利用者から入る収入は既に上限に達している状況ですのでこれ以上は望めませんね。
 ※高額介護サービス費についてはこちら
 ※負担限度額認定についてはこちら

利用者を増やすことも困難

この記事にもあるように,介護保険の制度においては利用定員が設定され,オーバーした分については国からの給付が減額されるなどの制限があるのでこちらも難しい。


このように,介護の世界では企業努力ではなかなか儲からないどころか,みんなギリギリ運営できている状況なのです。

収入が少ない状況で介護事業所が運営を続けるためには

答えは一つです。

支出を減らす。そう,労働者の給料です。

今の制度では事業所収入の増加は余り望めませんので,支出を減らそうとすれば,労働者の賃金を減らすしかありません。

これが,介護士の給料が低い理由なんですね。

事業所収入は介護報酬のみであり,介護報酬は労働者の給料に直結しています。

国が介護報酬を低く設定することは,介護士の給料を低く設定していることになります。

給料を上げるには,事業所が儲かる必要があり,事業所が儲かるには介護報酬を上げるしかないのです。

しかし,国はこれ以上社会保障費の増額は出来ません。

そうなれば,介護保険料増額,自己負担割合増額など,利用者の自己負担の増額に繋がります。

みなさんは,今のまま介護事業者が疲弊していくのを選びますか

それとも自己負担を増やしてでも,介護事業者の運営を守っていくか。

私は自分の未来を考えると後者を選びますね。