男待った

介護のために仕事を辞めるなんて選択は絶対にしちゃだめだ。
会社を辞めるぐらいなら介護を辞めてみるんだ!
自分がしなくても誰かがしてくれる。これはみんなが幸せになる方法だ

■仕事と介護を両立するためには? 

 前回も述べたように、「介護離職」を防止するため、国はさまざまな取り組みを行っています。そのひとつとして、実際に仕事と介護の両立を実現している人や、ケアマネジャーへのインタビューを基に、両立するための「5つのポイント」を挙げています。

1: 職場に「家族等の介護を行っていること」を伝え、必要に応じて勤務先の「仕事と介護の両立支援制度」を利用する
2: 介護保険サービスを利用し、自分で「介護をしすぎない」
3: ケアマネジャーを信頼し、「何でも相談する」
4: 日ごろから「家族や要介護者宅の近所の方々等と良好な関係」を築く
5: 介護を深刻にとらえすぎずに、「自分の時間を確保」する

 5つの話をひと言でまとめると、職場の理解を得て各種制度を活用したり、介護保険のサービスを上手に利用したりしながら、家族や近所の人の協力も得て介護をする、一人で抱え込まない、ということです。

 う~ん,こういった記事を読んでいると,自宅での介護が前提で,やっぱり「介護は自宅で家族がするもんだ。って思いなさい。」って言われている気がしてなりません。実際,今回の介護報酬の改定で自立支援の方向に向かっていることは明らかですし。この流れなんか嫌です。

自宅での介護をする方向に行くと何が問題か。

 ひとつは,この記事のテーマである介護離職ですよね。介護離職を防ぐために給与の一部を担保する介護休職の制度の拡充してきております。でも,「なんか育児休職と同じに考えていませんか?それでは介護離職は防げないですよ!」といつも思います。

 育児休職は保育園や幼稚園に行く年齢までの短くとても重要な期間を子供と一緒に過ごすことができる素晴らしい制度。この制度が成り立つのは,期間が短く,そして,終わりが見えていることです。会社側も雇用者側も計画が立てやすく,職場を離れる期間も最大で3年程度という長すぎず短すぎずちょうどいい期間であり,育児休職が終了する時は保育園や幼稚園という受け皿が確保されており,会社も社員も問題なく復職できることです。
 ※待機児童の問題はちょっと横に置いておきます。

 では,介護の場合はどうでしょうか?今日より来月,来月より来年,体の具合や認知症の症状が良くなることは絶対にありませんので,家族はどんどんと介護につきっきりになっていきます。また,医療の発達から寿命はどんどんのびており,育児のように3年後に介護から解放される保障は無いので,そもそも,期限がある介護休職では成り立たないのです。これじゃ,いつ復職出来るかも分からないので会社側も困りますよね。

 施設を探して入所するための準備期間として介護休職の制度があるのであれば問題ないと思うのですが,介護の時代は「自宅での自立支援」,今の介護休職では成り立ちませんね。

 今の介護休職の制度では,いずれ会社を辞めることになると思います。


私がもっと問題と思っているのが,「親と子の関係ってそんなに良好?」ということ。

 施設に入らず生活拠点を自宅にするっていうことは,親子の同居が必要になってくると思います。介護は24時間ですから。

 親と離れて暮らす核家族がほとんどの今,親と同居することだけでもうまくいかないと思うのは自分だけでしょうか。

 さらに,介護が必要になった親を介護の素人が介護する。どうしても,問題しか見えてきません。



生活拠点は自宅か施設か

 なぜ,国の方針は自立支援の1本なのでしょうか。なぜ,介護の形を決められてしまうのでしょうか。

 ・自宅で介護したい家族はどうぞ自宅で。足りない部分は国でカバーしますのでご安心を

 ・施設に入所させたい家族はどうぞ施設へ。安心して任せてください

 介護する家族の形も様々です。自由に介護の形も選べる時代になって欲しいと思います。