
自分で直接介護してあげることが良いって思ってる人多いんじゃないかな?
普通のサラリーマンが介護離職をすれば,経済的,身体的にも苦しくなるだけでなく社会との繋がりも弱くなりがちだ。そうなれば,してあげたかった介護も出来なくなるよ。
介護のプロでも難しいのが,家族の介護。まずは自分の家族の安定を考えてほしい。
● 「直接の介護」が恩返しになるとは限らない
私が伝えたいのは、これが「仕事を辞めて、自分で親の面倒を見る」ことの先にあるひとつの現実だということです。
高齢者の介護の負担は月日とともに重くなることはあっても、軽くなることはなかなかありません。そのため、「自分で面倒を見る」と決めてしまうと、いつしかその負担に耐えきれなくなり、介護離職もやむなし、といった決断になってしまいがちなのです。
家族だけ、子どもだけで介護するというのは生半可なことではありません。親のためを思ってはじめたはずなのに、いつしか親が憎くなって虐待してしまったり、精神的に追い込まれて親を殺してしまったり、一緒に死のうと心中をはかったりしてしまう……。
そんなニュースを、みなさんも目にしたことがあるのではないでしょうか?「大事な親だから、自分が直接やってあげたい」
「育ててもらった恩返しがしたい」
「自分がそうしてもらったように、母のおむつを替えてあげたい」その気持ちは美しいものです。しかし、それを5年、10年続けられるかというと、ものすごく大変でしょう。私は実際に、介護を何年も続けていらっしゃったご家族と数えきれないほど出会い、サポートをしてきました。その大変さを心の底から実感しています。
だからこそ断言します。介護で仕事を辞めないでください。介護離職は、家族の誰も幸せにしてくれません。
■直接的ではなく間接的な介護もある
我家の方針というか夫の方針です。
「親より自分,自分より嫁,嫁より子供。未来のあるものが優先。」
「餅は餅屋。介護は介護のプロに任せる。」
認知症の義父と同居して介護をするという選択肢は最初から無く,義父は入院,短期入所等を経て,現在,老健に入所しております。
当然,直接的な介護はしておらず,全て施設の方にお任せしております。
家族がしている介護と言えば,定期的に施設に孫を連れて訪問すること。
義父は元々遠方にいたのですが,認知症発症後,近くの老健に入所したので,以前よりも会う回数が増えています。
直接的な介護はしてませんが,可愛い孫に会える回数も増えて,親孝行は出来ているのかなと思います。
■一般的な共働き世帯で,同居して介護っていうのは不可能に近い
認知症の義父と同居していたらどうなっていたでしょう。
共働きなので,朝デイサービスに義父を送り出し,夕方義父が戻る前に仕事を終え帰宅。
う~ん。これだけでも毎日は無理かもしれません。
でも,ここからが本当の介護の現実・・・ですよね。
ちょと目を離した隙にどこに行くか分からない,夜中も何をするか分からない,暴言暴力もある。
赤ちゃんでさえ,育児休暇をとって世話をするのに手いっぱいで仕事どころではないのに,体の大きさも力も違う高齢者の世話をしていたら,ゆっくり休む時間も寝る時間もなく,仕事なんてする体力は残っていません。
介護離職からの家庭崩壊が目に見えます。それぐらい認知症の介護は大変なんです。
■介護休暇の制度は施設を探す時間にあてる
大きな会社にお勤めであれば,介護のための休暇制度があると思います。
その休暇制度も最大で3年とかの期限付きです。
その時間を介護だけにあてるのではなく,施設探しにあてるようにしましょう。
赤ちゃんは成長して手がかからなくなりますが,介護はどんどん手がかかるようになります。
さらに自分も歳をとってくるので,より介護が難しい状況になってきます。
早い段階で先を見据えて,施設を探すのが介護休暇の賢い使い方だと思っています。
そして今後の目途がついたら,気持ち新たに仕事に復帰するのがベスト
■介護離職して問題無いのは,ごく一部の方だけ
自分で介護したいという気持ちは分かりますが,仕事を辞めてまで介護をするというかできるのは,こんなごく一部の方だけだと思います。
①不動産所得があるなど不労所得があり仕事をしなくても経済的に安定している。
②交友関係が広く仕事以外での社会との繋がりが多い。
③趣味など介護以外にすることがある
お金に不自由せず,例え仕事を辞めて家で介護したとしても,外にも自分の居場所がある,なかなか一般のサラリーマン世帯には難しいですよね。
介護は義務感でしても誰も幸せになりません。
みんなが幸せになる介護の道を探しましょう。その道は介護離職で無いことだけは確かです。